少女達の青春群像 ~途切れなかった絆~
真夏のドライブ
紗智と橋本がつき合ってから4年くらい経つが、彼らはまだ続いていた。
その間、響歌の周辺もかなり変化した。舞はなんと結婚して県外に住んでいる。歩は一時期、半同棲状態までになっていた年下の彼氏がいたが、その人とも別れて今は響歌の男友達とつき合っている。その人は黒崎とも共通の友達だ。亜希は前につき合っていた人と別れたが、次の彼氏も会社の中で見つけていた。華世も同い年の彼氏がいる。その他では智恵美と奈央が結婚をした。真子は一時期、高校の時にバイトで一緒だった宮本と色々あったが、今はフリーだ。沙奈絵はシングルマザーになっているという話だ。
響歌にも彼氏がいたが、1年くらいつき合って派手に別れてしまった。黒崎も彼女と別れて今はフリーだった。
響歌と黒崎は一時期よく会っていたが、ここ1年くらいはあまり会わなくなっていた。それでも共通の友人が多くなっていたので、彼の話はどこからか入ってきていた。響歌と黒崎の彼女だった遊里が、黒崎達が4人で麻雀をしていたところに酔っぱらいながら乗り込んだこともある。そんなつかず離れず…の状態が続いていた。
そんな2人だったが、またちょっとずつ会うようになっていた。それでも前のようにみんな一緒ではなくて、会う時は2人だった。
きっかけは…響歌から送った暑中見舞いのメッセージだろうか。響歌は少しマメなところがあり、暑中見舞いや年賀の時期には友人達にそういった動画を送っていた。それを見た黒崎が、響歌に電話をしてきたのがきっかけだった。
響歌はもう少ししたら会社が盆休みになるので実家に戻る予定だ。黒崎とはその時に会う約束をした。場所はいつものように柏原ではなくて、響歌の地元である宮内。黒崎は1年前に仕事を変えていて、その仕事の関係で今は柏原から車で1時間くらい離れた場所に住んでいた。そこから響歌の地元に行くのも1時間かかるので、柏原ではなくて宮内になったというわけだ。
2人は宮内で一番大きいショッピングセンターで待ち合わせた。天気は快晴で、雲一つ無い。そんな空は憂鬱な気分も吹き飛ばしてくれるようだ。
彼氏と1カ月前に別れた身の響歌にとっては、ありがたい天気だった。気分が沈んでいる時にどんよりとした空模様だと余計に沈んでしまうから。
それでもこの日はそこまで沈んでもいなかった。久し振りに黒崎と会うのが楽しみだったのだ。
高校の頃は黒崎を好きな時期もあった響歌だが、今ではそういった感情は無くなっている。もっと遡ると高校3年くらいの頃からそうだった。
それでも彼は大切な友人の1人。色々と助け、助け合いをしていたような時期もあったので、友人の中でも特別な位置にいる。そんな彼とも、1年前くらいから頻繁には会わなくなっていた。
普通に考えたら、それは当然のことだった。2人はもう同じ高校に通っているわけではない。それに黒崎と響歌が住んでいる場所は電車で4時間はかかるくらい離れている。会えるとしても、響歌が地元に帰る盆や年末年始くらいだろう。それでも響歌はよく地元の方で用事が入り、帰っている方だったのだが。
響歌が待ち合わせ場所で待っていると見覚えのある車が駐車場に入ってきた。黒崎の方も響歌の姿がわかったらしい。響歌の傍に車を停め、窓を開けて助手席に座るよう促した。
黒崎の車に乗ると、すぐに冷房の涼しい風が響歌の熱くなった身体を冷やしてくれる。
「久し振りだね」
「あぁ、久し振り。ごめん、待たせたかな」
「そんなに待っていないよ。それに時間通りでしょ」
数日前に電話で話はしていたが、会うのは半年ぶりくらいなので、2人の口からは自然と『久し振り』という言葉が出た。
このショッピングセンターは待ち合わせ場所にしていただけで、ここに行くつもりは2人共に無い。今日はドライブをしようと電話の時点で決めていたのだ。
この付近は海も山もあり、景色は絶品。わざわざ都会からドライブに来る人もいるくらいだ。どうやらあの中葉幹事の同窓会の時もここまで来たらしい。
「ドライブに行く前に昼御飯なんかどう。この近くにイタリア料理が美味しい店があるんだ。一品が凄く多いから大抵わけ合って食べるんだけど。あっ、もしかしなくても知っている?」
「なんかわかったような気がする。この辺の友達に会った時は大抵そこに行くよ。まぁ、その時は夜ばかりなんだけどね。お昼に行ったことって、そういえば無かったな。たまには昼に行くのもいいよね。かなり雰囲気がいい店でしょ」
「そうそう、ランプが結構置いてあって、ちょっと暗いけど雰囲気はいいんだよな。じゃあ、そこに行こうか」
「うん」
あっさりと食べる場所も決まったので、早速、2人はその店に向かった。
その間、響歌の周辺もかなり変化した。舞はなんと結婚して県外に住んでいる。歩は一時期、半同棲状態までになっていた年下の彼氏がいたが、その人とも別れて今は響歌の男友達とつき合っている。その人は黒崎とも共通の友達だ。亜希は前につき合っていた人と別れたが、次の彼氏も会社の中で見つけていた。華世も同い年の彼氏がいる。その他では智恵美と奈央が結婚をした。真子は一時期、高校の時にバイトで一緒だった宮本と色々あったが、今はフリーだ。沙奈絵はシングルマザーになっているという話だ。
響歌にも彼氏がいたが、1年くらいつき合って派手に別れてしまった。黒崎も彼女と別れて今はフリーだった。
響歌と黒崎は一時期よく会っていたが、ここ1年くらいはあまり会わなくなっていた。それでも共通の友人が多くなっていたので、彼の話はどこからか入ってきていた。響歌と黒崎の彼女だった遊里が、黒崎達が4人で麻雀をしていたところに酔っぱらいながら乗り込んだこともある。そんなつかず離れず…の状態が続いていた。
そんな2人だったが、またちょっとずつ会うようになっていた。それでも前のようにみんな一緒ではなくて、会う時は2人だった。
きっかけは…響歌から送った暑中見舞いのメッセージだろうか。響歌は少しマメなところがあり、暑中見舞いや年賀の時期には友人達にそういった動画を送っていた。それを見た黒崎が、響歌に電話をしてきたのがきっかけだった。
響歌はもう少ししたら会社が盆休みになるので実家に戻る予定だ。黒崎とはその時に会う約束をした。場所はいつものように柏原ではなくて、響歌の地元である宮内。黒崎は1年前に仕事を変えていて、その仕事の関係で今は柏原から車で1時間くらい離れた場所に住んでいた。そこから響歌の地元に行くのも1時間かかるので、柏原ではなくて宮内になったというわけだ。
2人は宮内で一番大きいショッピングセンターで待ち合わせた。天気は快晴で、雲一つ無い。そんな空は憂鬱な気分も吹き飛ばしてくれるようだ。
彼氏と1カ月前に別れた身の響歌にとっては、ありがたい天気だった。気分が沈んでいる時にどんよりとした空模様だと余計に沈んでしまうから。
それでもこの日はそこまで沈んでもいなかった。久し振りに黒崎と会うのが楽しみだったのだ。
高校の頃は黒崎を好きな時期もあった響歌だが、今ではそういった感情は無くなっている。もっと遡ると高校3年くらいの頃からそうだった。
それでも彼は大切な友人の1人。色々と助け、助け合いをしていたような時期もあったので、友人の中でも特別な位置にいる。そんな彼とも、1年前くらいから頻繁には会わなくなっていた。
普通に考えたら、それは当然のことだった。2人はもう同じ高校に通っているわけではない。それに黒崎と響歌が住んでいる場所は電車で4時間はかかるくらい離れている。会えるとしても、響歌が地元に帰る盆や年末年始くらいだろう。それでも響歌はよく地元の方で用事が入り、帰っている方だったのだが。
響歌が待ち合わせ場所で待っていると見覚えのある車が駐車場に入ってきた。黒崎の方も響歌の姿がわかったらしい。響歌の傍に車を停め、窓を開けて助手席に座るよう促した。
黒崎の車に乗ると、すぐに冷房の涼しい風が響歌の熱くなった身体を冷やしてくれる。
「久し振りだね」
「あぁ、久し振り。ごめん、待たせたかな」
「そんなに待っていないよ。それに時間通りでしょ」
数日前に電話で話はしていたが、会うのは半年ぶりくらいなので、2人の口からは自然と『久し振り』という言葉が出た。
このショッピングセンターは待ち合わせ場所にしていただけで、ここに行くつもりは2人共に無い。今日はドライブをしようと電話の時点で決めていたのだ。
この付近は海も山もあり、景色は絶品。わざわざ都会からドライブに来る人もいるくらいだ。どうやらあの中葉幹事の同窓会の時もここまで来たらしい。
「ドライブに行く前に昼御飯なんかどう。この近くにイタリア料理が美味しい店があるんだ。一品が凄く多いから大抵わけ合って食べるんだけど。あっ、もしかしなくても知っている?」
「なんかわかったような気がする。この辺の友達に会った時は大抵そこに行くよ。まぁ、その時は夜ばかりなんだけどね。お昼に行ったことって、そういえば無かったな。たまには昼に行くのもいいよね。かなり雰囲気がいい店でしょ」
「そうそう、ランプが結構置いてあって、ちょっと暗いけど雰囲気はいいんだよな。じゃあ、そこに行こうか」
「うん」
あっさりと食べる場所も決まったので、早速、2人はその店に向かった。