一人だけの、友達。



_「これ、君のでしょ?」


優しい声。



どこかで聞いた事のあるような声。



男の人だとすぐにわかった。



顔を上げると、金髪のさらさらな髪が目に映る。



優しそうな目。



そして、何よりもあの模様...



僕の中学校と同じ制服だった。



「しっかり持っとけよ」



僕の手に携帯を置く男の子。



「もう落とさないようになっ♪」



男の子は明るく微笑んで、持っているミサンガで僕の手に携帯を結び付けた。



「あの..ありがとうございました...」



「いえいえ♪
ちょっと通り掛かっただけだから♪」



..その笑顔を見ていると、なんだかほっとする気分になった。



その日、初めて僕は、
落ち着いた気持ちになれたような気がした...__





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