一人だけの、友達。



下校時間だって、早く帰る事なんてできない。



「めんどくせぇなぁ..
希一、後はよろしく」



慎吾が僕にモップを手渡す。



いつもそうだ。
慎吾が掃除当番の時は、
必ず僕が代わりにやる。



「え...
今日もですか?」



「は?
まさか嫌だなんか言わないよねぇ?」



「いえ、僕がやります!」


...逆らえない。



断るなんて出来る訳ない。


僕はずっと、おとなしく
慎吾の言う事を聞いていればいいんだ。



そうすれば、
仕返しされる心配もない。


別にいじめられても、
一生、友達がいなくてもいい。



その時はそう思ってた___



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