【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


そもそも新那に真宙くんの狼を預けようとしたのだって彼女の身を心配してのことだ。



「もし、そうなんだとしたら理由が知りたい」



私の言葉に怜央はガシガシと頭をかくと、小さなため息をもらした。


「……この前、ファミレスで友達がバイトを辞めてほしがってるって言ってたろ?」

「う、うん。言ったけど?」


それはバイト初日のこと。

他のチームに認知される目的で繁華街を訪れた私たちは休憩がてらに寄ったファミレスで様々な話をした。

今、怜央が口にしたのはその中の一つ。

『そういや、友達にこのバイトの話したのか?』

『うん、話したよ』

『反応は?』

『うーん、やっぱり特殊なバイトだから辞めてほしそうだった。まぁ、普通はそうなるよね』

あの時、怜央が『……そうだな』と言って別の話を始めたところまでは覚えている。

この話と昼間、怜央の態度が変だったことが関係してるの?


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