【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。

声をかけると走り出したその男を、私は捕まえて拘束した。

昔、過保護な父に2年ほど習わされていた護身術と柔道が役に立ったのだ。

その後、先生の話によると男の鞄からは女子生徒の制服が出てきたらしい。


「その前は男と猫を助けたとか。お前に関する話はそんなのばっか」

蓮見怜央が私のことを知っていたなんて驚いた。

もしかして、姫候補を探すために予めリサーチしていたのだろうか。

ちなみに男と猫を助けたというのは、猫を助けるために木に登った委員長が木から降りられなくなり、私が駆けつけたという話。


「俺は姫にするなら、お前みたいな強さと優しさを兼ね備えた奴がいい」

彼が求める姫はあくまでも櫻子さんの身代わり。

それでも、私がいいと言ってもらえたことは素直に嬉しかった。

人の役に立ちながらお金をもらえるなら、喜んでその役を引き受けたい。

だけど、気になることがもう一つ……。

「あの……念の為、確認するけど。そのお金って出処は?」

いくら魅力的な仕事でも、悪いことをして得たお金で支払われる給料なら受け取れない。 


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