【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


「だけど、怜央は私がバイトを続けたかったことや新那にそれを言えなかったことに気づいてくれたでしょ?」


話して数日しか経っていない人のことなんかわからない。

そう言いながらも、彼は私の口に出せなかった気持ちに気づいてくれた。


「それは俺が……、俺の視野が瑠佳よりも何倍も広いからだろ。つーか、もう気にすんな」


「でも、」

「小川も言ってたけど瑠佳は自分に厳しすぎんだよ。もっと肩の力抜いて生きれば?つっても、お前の性格上、難しいんだろうけど」

「ごめん」

「謝るようなことじゃないだろ。そういう瑠佳だから周りが頼ってほしい、甘えてほしいって思うんじゃねぇの。先に言っとくけど、俺も瑠佳を一人にはしねーから」



「怜央…………」


怜央の言葉はありのままの自分でいい。

そう言われた気がして、また目頭が熱くなった。


けれど、なんだか胸に引っかかる。


頼ってほしい、甘えてほしい、一人にはしない。 


ああ、さっき新那から私に向けられた言葉に酷似しているからだ。

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