【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


あれ?でも、怜央はその部分を知らないはずだよね?偶然?

……いや、偶然なら“俺も”なんて言い方をするのはおかしい。




「ちょ、っと待って。本当はどこから聞いてたの!?」

「ん?……あ、やべっ」

「今、やべって言ったでしょ。正直に吐いてよ」

怜央の正面に回り両肩をガッシリと掴みながら前後に揺らす。

すると、彼は私から目線を外して答えた。 

「……小川が海水で顔洗った辺り?」

新那が海水で顔を洗った時。ってことは“私の頭の中は怜央のことでいっぱいだったんだ”あれも聞かれてたってこと!?

「なんではじめから本当のこと言ってくれなかったの!?」

「俺に聞かれちゃまずい話もあるのかと思って」

やっぱり聞いてたんだ!!

「わ、忘れて!聞いたこと全部!記憶の中から丸々消去して!」



「無茶言うなよ」

怜央はそう言うと肩を掴んでいた私の手を取って、そのまま後ろへ体を倒した。


「え、きゃ、なにっ」

引っ張られたことによりバランスを崩した私は勢いよく怜央の胸へとダイブする。


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