【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
話は1か月前─、4人で海へと行った日に遡る。
『新那ちゃん、護身用のキーホルダー返したって本当?』
『あ……えっと、はい。私に持つ資格はないと思って』
『資格?どういうこと?』
『私、瑠佳ちゃんにはこのバイトを辞めてほしかったんです。そのことで瑠佳ちゃんと蓮見くんに迷惑をかけちゃって……。2人が喧嘩をしたのは私のせいなんです。だから、私が持ってちゃいけないと思って』
『なるほどね』
『あっ!でも、今は瑠佳ちゃんの選択を応援したいと思っています。蓮見くんが瑠佳ちゃんのことをちゃんと考えてくれていることもわかったので……!』
『うん。うちの総長はハンパな気持ちで瑠佳ちゃんを雇ったわけじゃないからそこは安心して。あとは、新那ちゃんに心配かけないように俺らが瑠佳ちゃんを護るから』
『お願いします……!!』
『お願いされました。……ってことで、これはやっぱり新那ちゃんが持ってて』
『でも……』
『他の子なら喜んで受け取るよ?』