【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
それから、放課後までに届いたメッセージは一通《何かわかったらすぐに連絡する》というものだった。
「瑠佳ちゃんを護るっていいながら、そばにいないのはおかしくない?」
放課後、冬馬くんが来るまで学校から出られない私は、新那と一緒に部室棟を目指していた。
周りには聞こえないように声のボリュームを抑えてはいるが、ずいぶんとお怒りモードな新那。
「怜央は総長だから他にもやらなきゃいけないことがあるんだよ」
「瑠佳ちゃんを護ること以外に大事なことなんかある?」
「あるある。まだ私が狙われてるって決まったわけじゃないし」
狂猫の狙いは櫻子さんの方かもしれない。
もし、そうだとしたら怜央がいるべき場所はここじゃない。櫻子さんのそばだ。
彼女を護れなければ、私の仕事に意味はない。
「それに私には冬馬くんが付いてくれるから大丈夫。心配なのは新那の方だよ」
「でも、姫の友達が狙われることってないんだよね?」
「基本的にはね」