【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


それから、放課後までに届いたメッセージは一通《何かわかったらすぐに連絡する》というものだった。



「瑠佳ちゃんを護るっていいながら、そばにいないのはおかしくない?」


放課後、冬馬くんが来るまで学校から出られない私は、新那と一緒に部室棟を目指していた。

周りには聞こえないように声のボリュームを抑えてはいるが、ずいぶんとお怒りモードな新那。


「怜央は総長だから他にもやらなきゃいけないことがあるんだよ」

「瑠佳ちゃんを護ること以外に大事なことなんかある?」

「あるある。まだ私が狙われてるって決まったわけじゃないし」


狂猫の狙いは櫻子さんの方かもしれない。


もし、そうだとしたら怜央がいるべき場所はここじゃない。櫻子さんのそばだ。


彼女を護れなければ、私の仕事に意味はない。



「それに私には冬馬くんが付いてくれるから大丈夫。心配なのは新那の方だよ」


「でも、姫の友達が狙われることってないんだよね?」


「基本的にはね」


< 134 / 260 >

この作品をシェア

pagetop