【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
数時後、アラームの音で目を覚ました私は怜央の家から直接、学校へと向かった。
バイクから降りると正門前にいた新那が小走りで駆け寄ってくる。
「おはよ、新那」
「昨日、蓮見くんの家に泊まったって本当!?」
いつもなら、私と怜央が一緒にいる時は遠巻きに見物をしている新那。
しかし、今日の彼女は隣に怜央がいることを気にする様子はなかった。
新那にも心配かけてたんだな……。
あれ?そういえば、私が怜央の家に泊まったことを新那が知っているのはどうしてだろう?
「もしかして、真宙くんから聞いたの?」
怜央が新那に伝えたとは考えにくい。
「ち、違うよ!志貴から連絡があって……。瑠佳ちゃんの仕事は本当に家政婦なのかって」
「あー……、そっちか」
「あっ!志貴には心配しなくても大丈夫だって伝えたから」
「ありがとう」
「それで?何があったの」
「ここじゃあれだから、移動しよっか」
隣にいた怜央に「話してもいい?」と許可を取った後、私たちは屋上へと移動した。