【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
そこで昨日起きたことを全て打ち明けると、新那は生まれての子鹿のようにプルプルと震えながらこう言った。
「……瑠佳ちゃんのこと、護るって言いましたよね?」
大きな瞳は怜央をまっすぐ見つめている。
「ああ、言った。それなのに瑠佳を危険な目に合わせてすまない」
言い訳一つ口にせず、頭を下げた怜央。
その行動に驚いたのか新那は口をつぐんだ。
「私が攫われた時、怜央は一緒にいなかったの。でも、すぐに助けに来てくれたんだよ。だから、見て!こんなにもピンピンしてるでしょ?」
体を大の字に広げ、怪我をしていないアピールをすると新那は安堵のため息をもらした。
「……次は絶対に瑠佳ちゃんのことを護って下さいね」
「約束する」
「た、頼みましたからねっ!」
いつもなら本当に?と聞き返す彼女だか、さすがに怜央の言葉は一度で飲み込むしかなかったようだ。
この日は怜央も新那も一日中私にべったりで、昼食も3人で食べることになった。