【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。






「お、ライトが来るなんて珍しいじゃん」

闇狼とアジトに顔を出すと真中くんが嬉しそうに僕の頭を撫でた。


「櫻子とは順調か?」


「うん。皆のおかげだよ」

中2の夏、櫻子からの告白をきっかけに僕たちは付き合い始めた。



「今日はいくつか掴んだ情報を報告しに来たんだ」


初めて大きな抗争があった日、無表情で相手を殴り続ける怜央と、笑いながら相手を蹴りを入れる真宙のことをただ見ているだけだった僕。

そんな僕に暴走族は無理だと思った。


でも、僕も闇狼の力になりたくて始めたのが情報屋。

裏名は石橋右京(うきょう)の右という漢字から取ってライトに。

正直に言うと、このセンスはいかがなものかと思う。

だけど、櫻子がつけてくれたからありがたく使用している。






あれから月日は経ち、僕たちは高校1年生になった。

真中くんは次の総長に怜央を指名。

怜央は「面倒なことを任された」と言いながらも、闇狼を良いチームへと導いてくれている。


このまま闇狼を次の世代へと引き継ぐ。

そのために僕は自分のできる限りのことをした。

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