【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
「きれー……。市販の花火であんなのがあるんだね」
リビングで皆の分の飲み物をコップに注ぎながら、隣にいた怜央に話しかける。
「俺もあのでけーやつは初めて見た」
「今日のこと事前に教えてくれてたら、私も花火大会らしい準備をしてきたのに」
「準備って?」
「焼きそばとかフルーツ飴作り」
「お前、それ出店のバイトでもやってただろ」
「だから、自信作を持ってこれたの」
「いいんだよ、今日はただ楽しんでおけば。元々、櫻子が瑠佳と小川に礼がしたいって言って始まった計画だからな」
「そうだったの?」
「ああ。俺は正直、6人で思い出を作るよりも瑠佳と2人で過ごす時間を優先したかったけど」
「ゔ……ごめん。私がバイトばっかりしてたせいで」
「謝るようなことじゃねぇよ。それに櫻子の計画も結果的には悪くなかったしな」
「え?」
「瑠佳の浴衣姿が見られた」
怜央はテーブルに片ひじをつきながら、熱い視線で私を見つめる。