【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
「新那がシートに座るのを遠慮してるんだけど別にいいよね?座っても」
「は?別に許可なんていらねぇよ」
怜央の顔には「そんなことで時間を取ってたのかよ」と書かれてある。
「だよね?ほら新那、座って座って」
膝を抱えしゃがみ込んでいた新那は「失礼……します……」と口にした後、靴を脱いで私の隣に腰を下ろした。
縦2m、横1m程の花柄のレジャーシートの上にようやく3人がそろう。
これで話が進められそうだ。
「それで新那を連れて来いって言った理由は?」
「その前にバイトのことや、付き合ってるふりをすることは話したのか?」
「うん」
「小川のことも瑠佳から大体の話は聞いてる。親友らしいな」
怜央から直接、話を振られたことにビクッと肩を震わせた新那だが「そうです、親友です」と答える姿はとても堂々としていた。
それだけはきちんと伝えたかったという彼女の強い意思を感じて胸が熱くなる。
「瑠佳から話を聞いてるならわかってるだろうけど、小川も俺らの関係について話を合わせてくれ」
「……はい、わかりました」