【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
「真宙のを借りてきた。あいつ今、特定の女はいないから使わねぇってさ」
真宙くんのものだったんだ。
「へ、へー。そうなんだ」
“特定の女は”ってところに引っかかったけれど、そこは聞かなかったことにしよう。
「だからまぁ、大切にしてやって」
新那は怜央の言葉に一度小さく頷いた後、「あの」と声を振り絞って話し出す。
「……防犯対策をしなきゃいけないってことは、やっぱり瑠佳ちゃんがするバイトって危ないことなんですか?」
「そうだな。総長の姫は危険を伴うことが多い」
「やっぱり……」
「でも大丈夫だよ新那!闇狼の皆が護ってくれるから。この前も怜央の顔を見ただけで逃げ出した人がいるんだよ。すごくない?」
新那に余計な心配はかけたくない。
そう思って必死にフォローをするも、彼女の耳に私の言葉は届いていないようだった。
「正直、私は瑠佳ちゃんにこのバイトを辞めてほしいと思っています」
「に、新那。どうしたの急に」