【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
「ほっとけば?一人になりたいんだろ」
「ほっとけないよ!なんであんなに冷たく当たったの?」
「俺はいつもと変わんねーよ。特別扱いするのは姫だけだ」
「怜央がそんな考えなら、私は姫を続けられない」
私はどこかで期待していた。
姫を必要とする彼なら、発言を撤回して止めてくれると。
けれど、
「そうか」
了承とも取れる言葉を口にした後、怜央は私から目を逸らした。
それが彼の出した“答え”だった。
やっぱり、私の替えなんていくらでも利くんだ。
所詮、ただのバイトだもんね。
怜央だって口答えばかりして、いざという時に役に立たない私なんかよりも、もっと姫に相応しい人を見つけたくなったのかもしれない。
新那を探しているのに私の頭の中は怜央のことでいっぱいで、そんな自分に嫌気が差した。