【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
【怜央side】
電話口から聞こえてきたのは『それはお前が悪いな』という真宙の呆れた声。
数分前、瑠佳は小川を追いかけるようにして屋上から出て行った。
一人残された俺は花柄のレジャーシートの上で真宙から説教をくらう。
「姫を怒らせた」と真宙に電話をかけたのは、瑠佳がいなくなってからすぐのこと。
事の次第を話すと、真宙は盛大なため息をもらした。
『お前が瑠佳ちゃんのことを思って言ったのはわかるけど、言い方ってもんがあるだろ。いーいーかーたー』
「悪かったな」
闇狼、副総長の真宙とは櫻子と同じで幼い頃からの仲だ。
いわゆる、幼なじみというやつ。
だから、今あいつがどんな顔をしているのか俺には容易に想像ができる。
「お前、笑ってんだろ?」
『うーわ、なんでわかんの』
「逆になんでお前はバレないと思ってんだよ」
『ははは。だって、闇狼の総長様が一人の女の子のことで悩んで電話かけてくんだもん。そんなの爆笑もんでしょ?』
「あのなぁ、こっちは真剣に」
『はいはい、わかってるって。仲直りしたいんだろ?』
「仲直りって子供かよ」