【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
『わかった怜央?』
「あ?今ので何がわかんだよ」
『……ったく。たった今、俺が実践してやっただろ。言葉で上手く伝えられないなら態度で示すんだよ。ご機嫌な声が聞こえたろ?』
……こいつに聞いた俺が馬鹿だった。
「参考になんねーよ。つーか授業サボって何してんだよ」
『その台詞はお互い様だろ。どうせ怜央も屋上に居るんだから。てか、まともな意見が欲しいなら、俺じゃなくてあいつに相談しろよ』
「あいつはお前と違って授業中に電話出ねぇんだよ」
『なんだ、俺は二番手ってわけね。もう素直に謝りゃいいんじゃねぇの?色々言ったけど機嫌取るのと、仲直りすんのは別もんだしな』
真宙は飽きてきたのか、あくびをしながら話をする。
けれど、言っていることは正しかった。
どれだけ機嫌を取ろうが相手の心に寄り添わなければ、その場しのぎにしかならない。
最初からそう話してくれたら、不必要な会話を聞くこともなかったんだけどな。
「後で瑠佳に謝るわ。ありがとな」
『へー、怜央は機嫌よりも仲直りを取るんだ』
「どういう意味だよ」