【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
『言わないよ。名前、小川新那ちゃんだよね?私、2組の水瀬瑠佳』
『…………』
『どうしたの?何かあったの?』
泣いている彼女を一人にはしておけず、隣へと静かに腰を下ろす。
そして、志貴が泣いた時よくやるように背中を優しくポンポンと叩くと、新那ちゃんはゆっくり話し始めた。
『……前の学校に戻りたい。皆、新那のこと裏でコソコソ話すんだもん』
たった一日でこの学校の有名人になってしまった彼女。
それをよく思わなかった一部の女子が裏で彼女の悪口を言い、避けものにしているらしい。
そんな仕打ちを受ければ、誰だって元いた場所へ帰りたくなるだろう。
『……ほっときな。その子たちはきっと新那ちゃんを妬んでるだけだよ。だってうちの学校で一番可愛いから』
『そんなの……っ』
『どうしようもないよね?だから、新那ちゃんは悪くないし、こんな所でこっそり泣く必要もないんだよ』
『…………う……ん』
『ねぇ、前の学校では休み時間、何して遊んでたの?』