【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


『えっと……教室に置いてあったオルガンを弾いたり、喋ったりしてた。お昼休みは校庭で縄跳びとか』

『へー!うちの学校は教室にオルガンないなぁ。でも、縄跳びならあるから今からやろう!!』

『で、でもっ……』

『大丈夫!新那ちゃんはもう一人じゃないよ。私がいるから!!』


私が泣いてるといつも優しくポンポンと背中を叩いてくれたお母さん。

話の最後には必ず『瑠佳は一人じゃないよ。お父さんとお母さん、それに志貴だっているじゃない』と勇気づけてくれた。 


そして、お母さんが亡くなった今、その言葉をかけるのは私の役目になった。


『志貴は一人じゃないよ』

私がそう言うと、柔らかくて小さな手は私の手をぎゅっと握りしめてくる。


そんな志貴と新那ちゃんの姿が重なって、私が笑顔にしなくちゃって、そう思ったんだ──。


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