王子様の溺愛は、とことん甘い【クリスマスSS】
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…うん、大丈夫。
鏡の前で顔をパチンと叩く。
気を引き締めないと、この先ちょっとでも油断したらとんでもない顔になりかねない。
口元が緩みきってニヤけた姿を見せるなんて、自分が許せないから。
「しゃんとしないとな」
そう自分に言い聞かせて、芙羽梨の支度が整ったと連絡を受けてから会場入口へと足を動かした。
「えっと…その…私、大丈夫ですか…っ?」
卒倒しそうになった。
「…芙羽梨って、天使だったんだね」
「て、てんし…??」