王子様の溺愛は、とことん甘い【クリスマスSS】
僕にとっては当たり前だけれど、芙羽梨はそうじゃない。
少なからず、不満を持っていても何らおかしくないはず。
なのに、芙羽梨は一瞬ぽかんとしてから顔をほころばせた。
「詩音先輩とのデートも、絶対楽しいと思いますけど…。私は、詩音先輩とのパーティーも同じくらい楽しみですよ…?詩音先輩の正装姿を見るのも、すごく楽しみです」
「っ…」
芙羽梨のその言葉で、僕がどれほど救われるか。
変わり映えしないと思っていた恒例行事が、芙羽梨がいて、楽しんでくれると思うだけでこんなにも嬉しくなる。