主役になれないお姫さま
覚悟を決めてゆっくりとドアを開けた。
「初めまして。横谷の妻、美弥子と申します。」
ドアの前には品の良さそうな女性が立っていた。年は30代半ばくらいだろうか?
「横谷はどこにおります?」
「ですから、何度も申し上げてますが、今、彼はおりません。」
「信じられないわ。中を確認させてくださる?」
そう言って靴を脱ぐと、私を押し退けて部屋へと入ってくる。
「一真さーん?どこにいらっしゃるの?」
片っ端から扉という扉を開けていく。
「一真さーん?こちらかしら?」
トイレやお風呂、寝室の扉、終いにはベランダ、クローゼットと開けていくが当然いるわけがない。
妻を名乗る美弥子さんはコチラをキッと睨んでくる。
…ああ、この目知ってる。
沙織ちゃんと同じ目つき…。
嫉妬だ…。
「一真さんをどこに隠したっ!!!」
突然、怒鳴り出したので、もう、恐怖しかない。
…この人、普通じゃないのかも。
部屋に入れてしまったことを凄く後悔した。
「ですから、初めからいないって言ったじゃないですか!」
「お前が私の一真さんを隠したなっ!?」
今にも襲いかかってきそうな勢いで、ヒステリックな声を上げる。
普通の状態じゃない人に何を言っても無駄なのだろう。
ここは彼女落ち着いてもらわないと…。
「奥さま、まずは落ち着いてください。コーヒーを淹れてくるのでお掛けになってください。」
2人がけの小さなソファに座ってもらった。
こういう時は相手の話を否定してはいけない。と昔何かで聞いた事があった。
否定すると逆上してしまう事があるという。
彼女に落ち着いてもらう事が最優先だと思い、キッチンへ向かってコーヒーの支度をする。
一真さん早くきてっ!!
心の中で強く叫ぶ。
その時、ドアが開く音が聞こえた。
「詩乃、ただいま。」
何か起きたらすぐに通報できる様にスマホを握りしめる。
「誰かお客様きてる…。」
入って来てすぐ、ソファーに腰掛けた女性を見るなり、一真さんの身体が強張ったのがここからでもわかった。
「やっぱり、こちらにいらしたのね。」
美弥子さんは不気味なほど優雅な笑みを見せる。
「詩乃!直ぐに警察に電話しろっ!!!」
そう言うと、一真さんは自分のスマホ取り出しどこかに電話した。
「もしもし!松山!まだ会社にいるか!?アイツが詩乃の部屋にいる。直ぐに来てくれ!!!」
通話を終了させるとメッセージアプリの機能を使い現在の所在地を副社長に送っていた。
私も急いで警察に電話をして住所を伝えた。
「詩乃、俺の後ろに来いっ!」
「えっ?」
「早くっ!!!」
理由は分からないが一真さんからは物凄い緊迫感が伝わる。
急いで言われた通りに一真さんの後ろに行く。
「一真さんたら、なかなか新居に帰って来てくださらないからお迎えに来ましたのよ?」
ゆっくりと立ち上がった。
「詩乃、何でこいつを家に上げた!?」
「2日連続でこちらにいらして、一真さんの奥様だって言われたから…。何か事情があるのかと…。」
「くそっ!昨日も来てたのかっ!!!!」
「さぁ、こんな小娘ほっといて早く新居に戻りましょ!」
美弥子さんは一真さんの手を取ろうとするが、一真さんは振り払う。
「いい加減にしてくれっ!お前がやっていることは犯罪なんだぞっ!?篠宮社長の気持ちもかんがえてやってくれっ!」
一真さんには珍しく大きな声で怒鳴りつけた。
「お父様は関係ないわっ!これは私と一真さんの問題ですもの…。お父様に反対されたって私は一真さんについて行きますわ!」
「初めまして。横谷の妻、美弥子と申します。」
ドアの前には品の良さそうな女性が立っていた。年は30代半ばくらいだろうか?
「横谷はどこにおります?」
「ですから、何度も申し上げてますが、今、彼はおりません。」
「信じられないわ。中を確認させてくださる?」
そう言って靴を脱ぐと、私を押し退けて部屋へと入ってくる。
「一真さーん?どこにいらっしゃるの?」
片っ端から扉という扉を開けていく。
「一真さーん?こちらかしら?」
トイレやお風呂、寝室の扉、終いにはベランダ、クローゼットと開けていくが当然いるわけがない。
妻を名乗る美弥子さんはコチラをキッと睨んでくる。
…ああ、この目知ってる。
沙織ちゃんと同じ目つき…。
嫉妬だ…。
「一真さんをどこに隠したっ!!!」
突然、怒鳴り出したので、もう、恐怖しかない。
…この人、普通じゃないのかも。
部屋に入れてしまったことを凄く後悔した。
「ですから、初めからいないって言ったじゃないですか!」
「お前が私の一真さんを隠したなっ!?」
今にも襲いかかってきそうな勢いで、ヒステリックな声を上げる。
普通の状態じゃない人に何を言っても無駄なのだろう。
ここは彼女落ち着いてもらわないと…。
「奥さま、まずは落ち着いてください。コーヒーを淹れてくるのでお掛けになってください。」
2人がけの小さなソファに座ってもらった。
こういう時は相手の話を否定してはいけない。と昔何かで聞いた事があった。
否定すると逆上してしまう事があるという。
彼女に落ち着いてもらう事が最優先だと思い、キッチンへ向かってコーヒーの支度をする。
一真さん早くきてっ!!
心の中で強く叫ぶ。
その時、ドアが開く音が聞こえた。
「詩乃、ただいま。」
何か起きたらすぐに通報できる様にスマホを握りしめる。
「誰かお客様きてる…。」
入って来てすぐ、ソファーに腰掛けた女性を見るなり、一真さんの身体が強張ったのがここからでもわかった。
「やっぱり、こちらにいらしたのね。」
美弥子さんは不気味なほど優雅な笑みを見せる。
「詩乃!直ぐに警察に電話しろっ!!!」
そう言うと、一真さんは自分のスマホ取り出しどこかに電話した。
「もしもし!松山!まだ会社にいるか!?アイツが詩乃の部屋にいる。直ぐに来てくれ!!!」
通話を終了させるとメッセージアプリの機能を使い現在の所在地を副社長に送っていた。
私も急いで警察に電話をして住所を伝えた。
「詩乃、俺の後ろに来いっ!」
「えっ?」
「早くっ!!!」
理由は分からないが一真さんからは物凄い緊迫感が伝わる。
急いで言われた通りに一真さんの後ろに行く。
「一真さんたら、なかなか新居に帰って来てくださらないからお迎えに来ましたのよ?」
ゆっくりと立ち上がった。
「詩乃、何でこいつを家に上げた!?」
「2日連続でこちらにいらして、一真さんの奥様だって言われたから…。何か事情があるのかと…。」
「くそっ!昨日も来てたのかっ!!!!」
「さぁ、こんな小娘ほっといて早く新居に戻りましょ!」
美弥子さんは一真さんの手を取ろうとするが、一真さんは振り払う。
「いい加減にしてくれっ!お前がやっていることは犯罪なんだぞっ!?篠宮社長の気持ちもかんがえてやってくれっ!」
一真さんには珍しく大きな声で怒鳴りつけた。
「お父様は関係ないわっ!これは私と一真さんの問題ですもの…。お父様に反対されたって私は一真さんについて行きますわ!」