主役になれないお姫さま
楽しい時間はあっという間に過ぎて、太陽が傾き始めたので少しずつ片付けを始める事にした。
「ゴミもうないらない捨てに行っちゃうよー?」
大きな声で呼びかけると見ながらOKの合図をもらった。
1人では一度に持ちきれそうも無いゴミの山を目の前にし、誰か一緒に来てもらうか2回に分けるか悩んでいた。
「重い方持つよ。」
秋吉くんが声を掛けてくれた。
「ほんと?助かっちゃう!」
秋吉くんが運ぶのを手伝ってくれたお陰でゴミ捨ては一度で済みそうだ。
「…なんか、文化祭の時のゴミ捨てを思い出した。あの時も二人でゴミを焼却炉に運んだの覚えてる?」
「そんな事があったっけ?」
「あったよ。中1の文化祭の時、俺、実は告白しようとしてたんだ。だからずっとタイミングを探ってた。」
「へぇ~。そうだったんだ。」
告白しようとした相手は先ほど話していた人なのだろうか…。
あまりよく覚えていない…。
「…っぷ。くくくっ。」
「えっ?何?」
秋吉くんは突然噴き出すように笑った。
「もしかして、本当はその時のゴミ捨てを好きな子と行きたかったのに私が邪魔してしまったとか?」
当時、私は彼のことを好きだった。二人でゴミ捨てに行けると思って秋吉くんの好きな子から役割を奪ってしまっていたのだろうか…。
「大丈夫、邪魔なんてしてないよ。ぷぷっ。」
「ちょっと!何よさっきから!」
「…だって、詩乃ちゃんってば、まったく気づかないんだもん。」
「へ?ほんと何?私、誰かに何変なものでもくっつけられてる??やっちんが何か悪戯でもした?」
背中やあまり視界に入らないところを見渡したが、何もくっつけられてはいなかった。
「俺さー、ちょいちょいアピールしてるんだけど…?」
「アピールって?何を?」
「こうしたら分かってくれる?」
秋吉くんはスッと私の正面に立つと少しかがみこんでキスをした。
あまりにも驚きすぎて両手に持っていたゴミ袋から手が離れそうになる。
「どぉ?分かってくれた?」
かつて大好きだった彼にキスをされた…。
私が驚き固まっているのにも関わらず、彼はそのまま目の前に見えているゴミ置き場に向かって歩き始め、自分が持っていた分をゴミ置き場に置くと私のところに戻ってきて、私が持っているゴミを掴んだ。
「あれ?詩乃ちゃん、顔が真っ赤だよ?大丈夫?」
「あ…秋吉くん、私のことが好きだったの??てか、こんなところでキスしないでよっ!他の人に見られたらどうするよっ!」
やっと声が出た…。
「詩乃ちゃん、まだ分かってないんだね。『好きだった』んじゃなくて、今でもずっと好きなんだ。」
私が持っていたゴミをゴミ置き場に置いて振りかえる。
「知ってた?俺の母ちゃんと詩乃ちゃんのお母さん、今でも連絡取りあってるんだよ。だから、詩乃ちゃんが働いている会社、初めから知ってたんだ。ずっと別のやつが担当だったんだけど、もしかしたら会えるんじゃないかって思って担当を変わってもらったんだ。」
話をしながら私の正面に戻ってくると、そーっと私を抱きしめた。
「やっと詩乃ちゃんに会えた。…15年越しで告白もできた。俺と恋人として付き合って欲しい。」
突然の告白に頭の中がパニックだった。
「…私も秋吉くんがいなくなる前は好きだったよ。でも、今は付き合っている人がいるの。だから…。」
「待って、さっき俺の事を応援してくれたじゃん。だから、返事はもう少し後にしてよ。俺に頑張るチャンスをちょうだい。」
そう言うと、私の頭をなでて皆のところへと走って行ってしまった。
チャンスって言われても…。
しっかりと断るつもりが、ふんわり交わされてしまった。
「ゴミもうないらない捨てに行っちゃうよー?」
大きな声で呼びかけると見ながらOKの合図をもらった。
1人では一度に持ちきれそうも無いゴミの山を目の前にし、誰か一緒に来てもらうか2回に分けるか悩んでいた。
「重い方持つよ。」
秋吉くんが声を掛けてくれた。
「ほんと?助かっちゃう!」
秋吉くんが運ぶのを手伝ってくれたお陰でゴミ捨ては一度で済みそうだ。
「…なんか、文化祭の時のゴミ捨てを思い出した。あの時も二人でゴミを焼却炉に運んだの覚えてる?」
「そんな事があったっけ?」
「あったよ。中1の文化祭の時、俺、実は告白しようとしてたんだ。だからずっとタイミングを探ってた。」
「へぇ~。そうだったんだ。」
告白しようとした相手は先ほど話していた人なのだろうか…。
あまりよく覚えていない…。
「…っぷ。くくくっ。」
「えっ?何?」
秋吉くんは突然噴き出すように笑った。
「もしかして、本当はその時のゴミ捨てを好きな子と行きたかったのに私が邪魔してしまったとか?」
当時、私は彼のことを好きだった。二人でゴミ捨てに行けると思って秋吉くんの好きな子から役割を奪ってしまっていたのだろうか…。
「大丈夫、邪魔なんてしてないよ。ぷぷっ。」
「ちょっと!何よさっきから!」
「…だって、詩乃ちゃんってば、まったく気づかないんだもん。」
「へ?ほんと何?私、誰かに何変なものでもくっつけられてる??やっちんが何か悪戯でもした?」
背中やあまり視界に入らないところを見渡したが、何もくっつけられてはいなかった。
「俺さー、ちょいちょいアピールしてるんだけど…?」
「アピールって?何を?」
「こうしたら分かってくれる?」
秋吉くんはスッと私の正面に立つと少しかがみこんでキスをした。
あまりにも驚きすぎて両手に持っていたゴミ袋から手が離れそうになる。
「どぉ?分かってくれた?」
かつて大好きだった彼にキスをされた…。
私が驚き固まっているのにも関わらず、彼はそのまま目の前に見えているゴミ置き場に向かって歩き始め、自分が持っていた分をゴミ置き場に置くと私のところに戻ってきて、私が持っているゴミを掴んだ。
「あれ?詩乃ちゃん、顔が真っ赤だよ?大丈夫?」
「あ…秋吉くん、私のことが好きだったの??てか、こんなところでキスしないでよっ!他の人に見られたらどうするよっ!」
やっと声が出た…。
「詩乃ちゃん、まだ分かってないんだね。『好きだった』んじゃなくて、今でもずっと好きなんだ。」
私が持っていたゴミをゴミ置き場に置いて振りかえる。
「知ってた?俺の母ちゃんと詩乃ちゃんのお母さん、今でも連絡取りあってるんだよ。だから、詩乃ちゃんが働いている会社、初めから知ってたんだ。ずっと別のやつが担当だったんだけど、もしかしたら会えるんじゃないかって思って担当を変わってもらったんだ。」
話をしながら私の正面に戻ってくると、そーっと私を抱きしめた。
「やっと詩乃ちゃんに会えた。…15年越しで告白もできた。俺と恋人として付き合って欲しい。」
突然の告白に頭の中がパニックだった。
「…私も秋吉くんがいなくなる前は好きだったよ。でも、今は付き合っている人がいるの。だから…。」
「待って、さっき俺の事を応援してくれたじゃん。だから、返事はもう少し後にしてよ。俺に頑張るチャンスをちょうだい。」
そう言うと、私の頭をなでて皆のところへと走って行ってしまった。
チャンスって言われても…。
しっかりと断るつもりが、ふんわり交わされてしまった。