主役になれないお姫さま
「いつから気付いてたの?」
一体、どの辺りから聞いていたのだろう…。
「店に入った瞬間に気付いた。俺が詩乃に気が付かないわけがないだろ?まぁ…、詩乃の言葉を聞けて安心したよ。俺は選ばれたんだな。」
そう言うと、少し得意げな表情を浮かべて見せた。
お店を出て駅の前まで来ると『急用ができたからこのまま外出して直帰する。』と言い残し、一真さんはそのまま駅の中へと行ってしまった。
吉川くんと2人取り残されたので、そのまま会社の方へと歩き出す。
「木村さんから聞いたけど、さっきの彼と同級生だったんだって?…三浦ってモテるんだな。」
「…そんなことない。ほら、思い出って綺麗って言うじゃない?きっと、彼の中で美化されてるんだよ。」
「それもわかる気がするけど、学生時代から一途に思い続けるってなかなかできねぇよ?」
「実は、私の初恋の人はさっきの秋吉くんなんだ。だから、横谷部長代理と知り合う前なら付き合ったかもしれないけれど…。タイミングの問題よね…。」
「タイミングねぇ…。」
そんな話をしながらオフィスに戻ると秋吉くんからもらった手土産のお菓子を1課のメンバーに配った。
『三浦さんにって受け取ったから気にしなくて良いのに。』と木村さんに言われたが、1課のお客さまからの手土産を独り占めするみたいで嫌だったので皆に分けたかった。
あれだけしっかり断りを入れたのだから、きっともう秋吉くんから連絡は来ないだろう…。一真さんからも一言あったし…。
初恋と共に、大切な友人を1人失ってしまった気になりなんとも言えない気持ちになったが、自分が選択した事なので仕方がない…。
もしも、付き合っている相手が佐々木先輩だったとしたら、きっと、秋吉くんを選んだと思う。それだけ私にとって、一真さんの存在は大切で絶対的位置にいるのだと確信した。
1課の島から自分の席に戻る途中、一真さんの席が視界に入った。外出時には、いつもきちんと整理されている彼の机の上が珍しく雑然としていたので、先ほど急用と言われて駅で別れたが何か大きなトラブルがあったのではないかと少し心配になる。しかし、誰かの案件でトラブルがあったなど耳に入ってはこないし、社内は普段通り皆落ち着いていたので、きっと『大丈夫だ。』と、自分に言い聞かせて仕事を始めた。
一体、どの辺りから聞いていたのだろう…。
「店に入った瞬間に気付いた。俺が詩乃に気が付かないわけがないだろ?まぁ…、詩乃の言葉を聞けて安心したよ。俺は選ばれたんだな。」
そう言うと、少し得意げな表情を浮かべて見せた。
お店を出て駅の前まで来ると『急用ができたからこのまま外出して直帰する。』と言い残し、一真さんはそのまま駅の中へと行ってしまった。
吉川くんと2人取り残されたので、そのまま会社の方へと歩き出す。
「木村さんから聞いたけど、さっきの彼と同級生だったんだって?…三浦ってモテるんだな。」
「…そんなことない。ほら、思い出って綺麗って言うじゃない?きっと、彼の中で美化されてるんだよ。」
「それもわかる気がするけど、学生時代から一途に思い続けるってなかなかできねぇよ?」
「実は、私の初恋の人はさっきの秋吉くんなんだ。だから、横谷部長代理と知り合う前なら付き合ったかもしれないけれど…。タイミングの問題よね…。」
「タイミングねぇ…。」
そんな話をしながらオフィスに戻ると秋吉くんからもらった手土産のお菓子を1課のメンバーに配った。
『三浦さんにって受け取ったから気にしなくて良いのに。』と木村さんに言われたが、1課のお客さまからの手土産を独り占めするみたいで嫌だったので皆に分けたかった。
あれだけしっかり断りを入れたのだから、きっともう秋吉くんから連絡は来ないだろう…。一真さんからも一言あったし…。
初恋と共に、大切な友人を1人失ってしまった気になりなんとも言えない気持ちになったが、自分が選択した事なので仕方がない…。
もしも、付き合っている相手が佐々木先輩だったとしたら、きっと、秋吉くんを選んだと思う。それだけ私にとって、一真さんの存在は大切で絶対的位置にいるのだと確信した。
1課の島から自分の席に戻る途中、一真さんの席が視界に入った。外出時には、いつもきちんと整理されている彼の机の上が珍しく雑然としていたので、先ほど急用と言われて駅で別れたが何か大きなトラブルがあったのではないかと少し心配になる。しかし、誰かの案件でトラブルがあったなど耳に入ってはこないし、社内は普段通り皆落ち着いていたので、きっと『大丈夫だ。』と、自分に言い聞かせて仕事を始めた。