「Of My Disteny」ーゴールドー
なんで急に話さなくなったのかな、私余計なこと言っちゃったかな…




夕飯を食べ終わった後、まだもう少し時間があるからリビングのソファーに座って本を読みながら待っていた。

たぶんそろそろ出てくるから、そしたら私もさっとお風呂入っちゃおう。

あと1ページでキリのいいとこまで読める、そう思ってページをめくろうとした瞬間“おっまたせー!”と大声と共に洸が出て来た。

しかも上半身裸で。

「ちょっ」

「やっばー、超喉乾いた~!」

洸の大きな声にかき消されて私の声なんか届かない。

そのまま一直線にキッチンに向かった洸は冷蔵庫からキンキンに冷えたペットボトルの水を取り出しグビーっと一気に飲み干した。

なるべく見ないようにしようと思ったけど気になっちゃって、逸らした風に見せて本で顔を隠しながら見ちゃったりして…

案外鍛えてるんだね。

いつも無駄な動きが多いって思ってたけど、キレイに割れた腹筋は何一つ無駄がなくつい見とれちゃうほどだった。

筋トレとかしてるんだ。

ふーん、意外とちゃんとしてるんだ。

「瑠衣ちゃん見過ぎじゃない?」

「え!?み、見てないし!」

「見てたじゃん~!」

裏返りそうになった声を無理やり引き戻して、サッと勢いよく立ち上がった。
動揺は隠しきれなくて持っていた本は勢いよくソファーに投げつけちゃったけど。

「私お風呂入るから!」



―ドンッ



実際ってそんなわかりやすく音が鳴るものなんだと思った。

それとも洸の打ち付けた力が強かったのかな。

通り過ぎようとする私の前にスッと洸の腕が伸びて来たから。

「!?」

程よく筋肉の付いた白い腕が私の顔の横をかすめる。

「瑠衣ちゃん、俺のこと見てたよね?」

「み、見てないよ!」

「見てたじゃん」

近い、洸のと距離は洸の腕の長さで測れちゃう。

こんなに顔が近いのも初めてだし、身長があまり変わらないから余計に近く感じちゃうし、てゆーか服着てないし!


やばい、心臓やばい!


ドキドキしてるの洸にも聞こえちゃう…!


「瑠衣ちゃっ」

「早く服着てよ!!」

耐えきれずドンッとし返してしまった。

「警報鳴っても知らないからね!!」

決め台詞はこれしかなくて。

顔が熱くなってるのもわかってたんだけど、恥ずかしさを隠すため大声で言い切った。

「にゃははははっ」

なのに洸はケロッと笑ってた。



ねぇ、それってどっちなの!?


今のはどんな意味だったの!?


なんでそんなことしたの!?


無駄にドキドキさせないでよ!!!
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