復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
 それに、一宿一飯の恩義もある。

 食事だけではないわよね。馬とか服とか与えてもらっている。

 いまここで否定するのはやめた方がいい、わよね?

 そう結論にいたった。

 ウオーレンにやさしい眼差しを向けつつ、咳ばらいをした。

 彼は、すぐに気がついた。

 わたしのやさしい眼差しの中、彼がビクリと震えた。

「い、いや。やはりいまは、国境まで出張ってきているオダン国軍のことがある。それに全力を傾けるべきだ」
「はい? 閣下、それは様子をみるということに決まったのでは?」
「ウイルの言う通りですよ。どうせこんなおいしい案件は、宰相がかっさらうでしょう。オダン国をちょっと脅して、でかい面をするにきまっています」

 ウオーレンの言葉に、ウイリアムとトリスタンは顔を見合わせてから言った。

< 100 / 158 >

この作品をシェア

pagetop