復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
「これは、このお茶はどこで?」
「どこでって、厨房にきまっていますよ。調理台の端の方に置いてありましたので、それを淹れました」
「ああ……。くそっ! 置きっぱなしにしていたおれが悪かった。マキ、これはお茶じゃない」
「わお、これってもしかして」
「これが、おっしゃっていたやつですか?」

 ウイリアムがポットを、トリスタンがカップを、それぞれウオーレンから受け取りつつ言った。

「マキ、これは毒だ」
「ど、毒?」

 なんてことかしら。もう少しで簡単便利に復讐を完遂するところだった。

「毒とは違うかな。ある意味、毒になる薬草だ」

 ウオーレンが溜息交じりに言った。

「なーんだ」
「『なーんだ』? 残念そうですね」
「はははっ! レディは面白い方だ」

 ウイリアムとトリスタンがプッとふいた。

 ドキッとした。

 つい本音が出てしまったわ。

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