復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
「おいっ! なにをしている。開けろ」

 彼は、向こうでドンドンばんばん扉を叩きまくっている。

 鬱陶しいしうるさいけれど、面倒くさいのできこえないふりをすることにした。


 はあああっ……。

 われながら生真面目というか人がいいというか……。

 官邸にある宰相の部屋は、一言で表現すると悪趣味である。

 調度品や美術品、本棚にある本まで「えっ?」って思いたくなる。いいえ。おもいっきり「ええええっ?」ってなった。

 奇妙な形の椅子に座り、ボーッとローテーブル上のお茶を眺めている。

 お茶の入っている陶器の絵柄もまた、なんとも表現のしがたい味のあるデザインと色合いである。
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