復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
 彼は、わたしの慌てふためく姿を見たくて見たくてたまらないのである。

 ぜったいに見せてやるものですか。

 だから、虚勢をはるしかない。

「さすが、ど厚かましく生きてきただけのことはあるな。まぁいい。単刀直入に言う。おまえに協力してやる」
「協力? なんのですか?」
「『銀仮面の獣将』の命を狙っているんだろう? うまくとりいったものだ。先日のパーティーの夜、彼に酒をぶっかけて目を惹いただろう? 恐れ入ったよ」
「さすがですね、宰相閣下。あのことも見破っていらっしゃっただなんて」

 ほんとうは、ただやらかしちゃっただけなんだけど。まぁ、宰相(かれ)があれを工作員の仕掛けみたいに思っているのならそれはそれでいい。

 わたしに、彼の夢をぶち壊す権利はないから。

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