復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
 すっかり暗くなっていることにふと気がついた。

 そうだ。ローズよ。夜気は、馬体によくない。

 本はそのままにし、とりあえず薬袋と封筒をカーディガンのポケットに押し込んだ。

 この二つは、ウオーレンの命そのもの。

 使い方によったら彼は即死し、わたしは辺境の地でなんの憂いもなくスローライフを送ることが出来る切符のようなもの。

 すごいアイテムよね。

 ひょんなことから幸運が舞い込んできた。

 これで復讐を果たす為のお膳立てが整った。

 あとは実行あるのみ。

 残念だわ、ウオーレン・シャムロック。

 あなたの死を願っているのは、わたしだけではない。むしろ、わたしより他の人たちの方がよりいっそう願っている。

 わたしは、その人たちの代表になっただけ。

 だから、恨まないでね。それから、祟らないでね。

 テラスから室内に入った。

 室内は、闇のように暗い。

 まるでウオーレン・シャムロックの死を願う者の心のように……。
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