復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
「ウオーレン様、葡萄ジュースのお代わりをお持ちしますね」
「ああ、頼む」

 ウオーレンから空になったグラスを受け取ると、宰相にも声をかけた。

 彼のグラスも、葡萄酒が空になっている。

「宰相閣下、もう一杯葡萄酒はいかがですか?」

 意味ありげな表情で問うと、彼は「毛がおもいっきり残念」な頭をぶんぶんと上下にふった。

「もちろん。いただこう」

 宰相から空になったグラスを受け取ると、自分のとウオーレンのといっしょにトレイにのせて厨房へと向かった。

 厨房は、宰相の私兵やウオーレンの侍従兵たちでワタワタしている。

 彼らは、食べ終えて食器類を運んでいるのである。

 今夜、厨房には不特定多数の人が出入りしている。

 これでは、いつなんどきだれかが厨房に置いてある葡萄酒や葡萄ジュースに毒を混ぜたとしてもわからない。

< 123 / 158 >

この作品をシェア

pagetop