復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
「羽根ペン?」

 だれかがつぶやいた。

「この羽根ペンを、こうするのです」

 ウオーレンの首やうなじ、手、銀仮面に覆われていない顔部分をそれでくすぐる。

「わお」
「うわっ」

 ウイリアムとトリスタンは、眉間に皺を寄せている。

 肌が見えている箇所はもちろんのこと、ズボンの裾やシャツの袖をめくって足や腕などもくすぐりまくる。

 さらには靴をひっぱり脱がし、靴下をひっぺがし、足の裏や足指の間も丹念にくすぐった。

 これは、究極の拷問。いえ、死んでいるのか生きているのかを確認する斬新な方法である。

「これでも食らえ」

 そして、ついに最終工程にいたる。

 羽根ペンの羽根でウオーレンの耳をサワサワしたり、「プッ」と息を吹き込んだりした。

 当然、死人が反応するわけがない。

「宰相閣下、これでいかがでしょうか?」
「た、たしかに死んでいるな」

 宰相は、やっと納得してくれたみたい。
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