復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
「ガシッ!」

 まさしくそんな音がしたかと思うほどの勢いで、宰相の両腕がつかまれた。

「ギイイイイいいやあああああああっ」

 鼓膜が破けたかと思うほどの悲鳴が、居間内に響き渡った。

「宰相っ! 冥府から戻ってきたぞ。あなたを冥府(そこ)にひきずりこむ為にな」

 な、な、な、な、なんと、ウオーレンが生き返った。

 ウオーレン(かれ)は上半身を起こし、宰相の両腕を握ったまま激しく揺さぶった。

 気の毒な宰相は、驚愕の表情のまま息絶えた。ではなく、失神した。

 失禁を添えて。

 ウイリアムとトリスタンは、石の床の上にグッタリと倒れている宰相を見おろすと笑いだした。

 わたしもだけれど。

 ウオーレンも加わり、わたしたちは涙が止まらなくなるほど石床上で笑い転げた。
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