復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
 それにしても、わたしからすべてを奪ったクルーズ王国の元宰相とスカンラン帝国の元宰相の末路は悲惨だった。

 悲惨にしてくれたメイナードとウオーレンには感謝しなくては。

「いま告げたことがすべてではない。だが、おおよそは告げたつもりだ。いまの話しを信じるか信じないかはきみしだいだ、マキ」

 メイナードは、気弱な笑みを浮かべた。

「マキ、まったく覚えていないのか?」

 ウオーレンに問われ、思い出さそうと全力でがんばってみた。だけど、やはりダメだった。

 ある一定の期間だけ、空白になっている。とはいえ、火事以前は幼すぎて覚えていないだけかもしれない。

「だったら、このような話は信じられないな」

 ウオーレンは、わたしの沈黙を否定的に捉えたみたい。

 悲し気に溜息をついた。

 彼は、でかい図体を小さな椅子の上で縮めている。
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