復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
「もちろん、そうされたくないのなら、ここにいさせて下さい。婿とかはまだちょっとはやいかもしれませんが、侍女と主人の延長みたいな? それとも、友人未満な関係みたいな? そんな感じでいてもいいかもしれませんしね」
「なるほど。そうだな。今後、おれは宰相の処分がどうなるかによってまた狙われることになる。これからは、きみも狙われることになる。様子をみながらすごすことにしよう。ストームとローズのこともあるし」
「えっ、ストームとローズですって? どういうことですか?」
「繁殖だよ。一か月ほど前、ローズに種付けをしたんだ。ストームの奴、バックから見事にキメてくれたよ。ローズも、ストームを見事に受けとめていた」
「なんてことかしら。そんな雄々しいアレ、見たかったわ。だったら、ここにいます。彼女とストームの仔馬の面倒もみたいし」
「受胎出来ているかどうかはもう間もなくわかるだろう。産まれてくるのは、それから約十か月後だ」
「えええっ! 馬の妊娠期間ってそんなに大変なのですか?」
「おおよそ十一か月。ローズは繁殖牡馬ではないからしばらくはさせないが、繁殖牡馬は産んでからすぐにまた種付けを行うのだ」
「なんてことかしら。だったら、現役の間は種を受け入れて妊娠して産むだけの人生? あっ、馬生? それも虚しいかもしれないわね。だけど、命が生まれてきたり育まれるのはいいことよね」
「マキ、きみもどうだい?」
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