復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
 これまで、いろいろなところで上流階級の人たちが食べるのを見てきた。たいていだれもがマナーや意識にがんじがらめになっているので、物足りない食べ方しかしない。しかも、女性にしろ男性にしろほどんどの人たちが残してしまう。ひどいときには、口をつけたふりだけで手を付けない場合もある。
 そういった料理は、基本的には廃棄されてしまう。それを知っていても、彼らは完食しないのだ。

 もちろん、好き嫌いやアレルギーや制限されている場合はある。だけど、ほとんどが食欲がないとか太るからとか、そういう理由で食べないのである。

 それなら、最初から料理を頼んだり食事会やパーティーに参加するなよ、と言いたくなる。
 まぁ、断れないお付き合いがあるから仕方がないのでしょうけれど。

 そういう倫理的なことはともかく、あまりにもひどいマナーなのはいただけないけれど、食べるときくらいある程度自由に食べなきゃ、と思う。

 楽しくもなんともないでしょうし、料理そのものや作り手にたいして失礼でしょう。

 そんなことを考えながらも、ガンガンどんどん料理を口に運ぶ。

 そうして、あっという間に平らげてしまった。


 く、苦しい。

 ついつい食べすぎてしまった。

 わたしは、「食べ物は、あるときに食べる」をモットーにしている。

 これまでの経験上、食べておかないと飢えてしまうから。

 これまで、仕事がなくてお金がないというないないづくしのことが多かった。仕事はあっても、ロクに賃金を払ってもらえなかったこともある。

 だからこそ、食事はありつけるときにありつかないといけない。
< 23 / 158 >

この作品をシェア

pagetop