復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
 椅子の背もたれに背中をあずけ、腹部をさすった。

 スカートのホックがはじけ飛びそうだわ。

 ちょっと力を入れたら、冗談抜きでパチンとはじけ飛ぶかもしれない。

「兵士顔負けの食いっぷりだな」

 しまった。満足しすぎて彼のことを忘れていた。

 椅子の背に背中を預けたまま、正面を見据えた。

「銀仮面の獣将」と異名を持つ男は、テーブル上に両肘をついて手を重ね合わせ、その上に形のいい顎をのせて面白そうにこちらを眺めている。

「そんな……。お褒めいただきありがとうございます」

 とりあえず礼を言っておいた。

 敵と言えど、食事をごちそうしてもらったからには恩がある。それに、褒められて悪い気はしない。

 すると、彼は「クックッ」と小さく笑った。

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