復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
 藁はウオーレンの金髪に絡まっていて、いまにも落ちそうなのに落ちない。それを見ていると、いらいらしてきた。それがもう限界にきている。

 が、ムダに長身の高い彼の頭髪に手は届かなかった。そればかりか爪先だった拍子にバランスを崩してしまい、よろめいた。

「おっと」

 彼が支えてくれた。支えてくれたのだけれど……。

「いやらしい」
「な、なんだって?」
「脇に手を入れるって、いやらしいです。もしかして、こういうことが目的なのですか?」
「ま、まさか」

 彼は、わたしから飛びのいた。

 さすがは歴戦の猛者ね。飛びのき方が尋常ではなかった。

「まあ、いいです」

 やっぱり藁が気になる。

 自分から彼に近づくと、もう一度背伸びをして腕を伸ばした。

「頭髪に藁がくっついているのです。じっとしていてください」

 彼が身を屈めてくれたので、やっと藁に手が届いた。

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