復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
 こんなこと、もといた宮殿でもときどきあったのよね。その度、侍女長や執事長や料理長が目くじら立ててぎゃあぎゃあ言っていた。だけど、文句はわたしにではなく勝手に落ちた物の方に言ってほしかった。

 それにしても、侍女長たちは勝手に落下した物の方に気を配っていた。そして、わたしを責めた。だけど、ウオーレンは違う。わたしに気を配ってくれた。

 そんなウオーレンは、やっぱりかわっているわよね。

「わたしは大丈夫だけれど、食器たちは大丈夫じゃないわ」

 粉々に砕け散っている食器もある。

 それらを指し示しながら溜息をついた。

「箒で掃かないと」
「いや、マキ。破片で切ったら大変だ。おれがやる」
「だったら、わたしがロースト担当になるわ。ウオーレン様、そんな顔をしないで下さい。調理はうるさいのよって言いましたよね? 忘れたのですか?」
「では、任せよう」

 彼は放棄と塵取りを取ってくると、いそいそと割れた食器を片付け始めた。それを横目に、肉や野菜をローストした。
< 47 / 158 >

この作品をシェア

pagetop