復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
 あっ、もしかしてウオーレンに恥をかかすことが出来るかもしれない?

 だけど、まあいっか。服屋で恥をかかせたところで、彼にとっては痛くもかゆくもないでしょう。

 というわけで、乗馬服で行くことにした。

 彼も乗馬服のまま行くらしい。ただ、腰に剣を帯びている。

 さすがは荒ぶる将軍だわ。

 いろいろな意味で感心してしまった。

「マキ、街に出たら出来るだけおれの側にいるんだ。もしも見たい物や立ち寄りたい店があったら、遠慮なく言ってくれ」
「えっ、ウオーレン様にくっついていろというのですか?」

 森の中をテクテク歩きつつ、ウオーレンが言ってきた。

「ああ。人が多くなるとそれだけ狙ってきやすくなる」
「狙って?」

 彼は、歩を止めた。仕方なく、わたしも立ち止まる。

「いろいろな奴がおれを狙っている。そいつらは暗殺者ギルドやもぐりの請負人を雇い、仕向けてくる。もちろん皇宮内や軍の中でも狙われるが、連中にとっては出来るだけ皇宮外の方が面倒くさくないからな。それに、ここだと人が近づいてくることじたい不自然だ。ということは、おれに近づきにくい。だが、街では人がいて当然。だから、皇宮外だと格段に狙われる率が高くなるというわけだ」

 なんだか自慢しているみたいだけど、そこって自慢するところなの?

 さすがよね。性格がねじ曲がりすぎているわ。
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