復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
「ウオーレン様、どうして嘘をつくのですか?」

 ウオーレンは、わたしの腕をひっぱったまま石畳の上をズンズンと歩いて行く。

 そのでっかい背に向って非難をした。

 そのとき、すぐ横の路地から猫が飛び出してきた。真っ白い猫で、一目散にこちらに向ってくる。

「ニャニャニャー」

 えっ、なに? もしかして暗殺者? って猫の? 児童書みたいに魔法使いが化けているとか?

「キャッ」

 猫に気を取られすぎていて、ウオーレンが立ち止まったことに気がつかなかった。

 おもいっきり彼の背にぶつかってしまった。
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