復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
「どうした?」

 そして、独り言なの? それとも、わたしには見えないだれかにかしら。手すりの向こうにいるであろう空中に向い、そう尋ねた。

「閣下、お休みのところ申し訳ございません」

 なんと、地上から若い男性の声がきこえてきた。

「閣下、国境警備隊より早馬が参りました。オダン国軍が国境の向こう側まで出張ってきているそうです」
「ウィル、宰相には?」
「警備隊の使者が報告に行っているはずです」
「待っていろ。すぐに行く」

 ウオーレンは、こちらを振り返った。

「すまない。部下と話をしてくる。悪いが、今日はてきとうにやっていてくれないか」
「もちろん。てきとうにやります。ローズのお世話もありますし。あ、せっかくですもの。お茶を淹れて持って行きますね」

 正直、めちゃくちゃ助かった。
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