復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
「おれは、ウイリアム・シュワードです。閣下の参謀を務めさせてもらっています。昨夜、閣下と訪れていただいた食堂の末っ子です」
「ああ、あのすごく美味しかった……」
「そうです。昨夜、レディは男五人分を軽く食べたとか? 両親だけでなく、昨夜あそこにいた常連客達も驚いていたらしいですよ。あれだけ食ってもらったら、料理人冥利に尽きると親父もよろこんでいました」

 すごいわ、わたし。そんな偉業を達成していたのね。

 褒められて悪い気なんてするわけない。

 かなりうれしい。同時に照れ臭い。

「レディ、おれはトリスタン・スレイド。閣下の副将軍を務めさせてもらっています。昨日、訪れていただいた服屋の倅です。そうそう。すべてではありませんが、昨夜、母が何着か仕立て直しをしました。それを持ってきました」

 右頬に傷のある方の美男子は、そう言ってから手前側の長椅子を指し示した。大きめの紙袋が見える。

「それは、ありがとうございます」

 夜なべしてまでお直しをしてくれるなんて、素敵すぎる対応ね。

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