微妙にHではない恋愛@異文化交流物語・魔法の恋の行方シリーズ7・アラゴンとアクア
サキュバスの授業見学
「おはようございます、アラゴン先生!」
アクアは頑張って、
声を張り上げアラゴンの部屋に入った。
「フン」
アラゴンは軽くうなずくと、
上から下までアクアを見た。
アクアは黒のパンツスーツ、
薄いブルーのシャツ、黒の低めのパンプス、
紺色の大きなトートバックを持っていた。
「教材はこれだ、見ておけ」
アラゴンはポンと、書類の束を投げ出した。
アラゴンの作ったものではない。
前任者の資料を、パクったものだ。
「失礼します」
アクアは、その書類の束を手に取った。
奇襲攻撃について、情報戦略、
防御に有利な地形とは・・・
軍事関係の文書だ。
「アンタは、サキュバスの高等
課程の授業見学があったな」
アラゴンはクイッと、
あごを廊下の方に向けた。
廊下の先に、
光沢のある、黒のボンデージファッションを着て、
革の鞭をもった、スレンダーな
美女が立っていた。
胸元には、ドラゴンの紋章がタトゥー。
網タイツに赤いピンヒール、
口紅も真っ赤だ。
頬にかかるストレートな黒髪が、美しい。
「あら、こちらのお嬢ちゃんね、アラゴン先生」
「イリス、説明してやってくれ」
そう言うと、
アラゴンは、箱を振って、たばこを口にくわえた。
「アクアと言います。よろしくお願いします」
お嬢ちゃんと言われて、
アクアはこぶしに力が入ったが、丁寧に頭を下げた。
イリスは赤い唇に、
真っ赤なマニュキュアの人差し指をあてて、アラゴンにウィンクした。