朝なけに
「一夜に会いたい…。
ずっと私は今も一夜を探して夜を彷徨っているようで。
だけど、一夜に捕らわれているのは私だけじゃない。
修司も中もそう。
この人達は、私が一夜の女だったから私に興味を持っただけだから」


修司さんも中さんも、真湖さんが一夜さんの彼女だったから…。


「俺は、真湖の言う通り。
加賀見会長の女だったから真湖と関係持ってた」


修司さんの言葉に、中さんは特に動揺していないから、
真湖さんと修司さんとの関係を知っていたのか…。



真湖さんと修司さんとの関係は、いつからなのだろう?
中さんとよりも、前…。


もしかしたら、中さんがこのお店に来るようになったのは、
真湖さんに、連れられて?
そして、頻繁に中さんがこのお店に通うのは、真湖さんに会いたくて。
今夜も、そうなのだろうか。


一夜さんの代わりでもいいから、真湖さんと会いたくて。


「中さん…、真湖さんを好きなら、一夜さんの代わりになったら駄目だよ。
代わりになんかなったら、余計に真湖さんに一夜さんの事を思い出させてしまう」


そう言って、自分で気付いてしまう。
その言葉、そのまんま私に当てはまる。


"――中さん、私は真湖さんの代わりでもいいです。
真湖さんと会えない夜、中さんの側に居させてくれたら――"


真湖さんの代わりでもいいと、私はこの人に言ったけど。
中さんを救うなら、代わりになんてなってはいけない。



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