朝なけに

「座れ」


その声に、体が震える。
中さんから、少し…けっこう離れてソファーに腰を下ろした。


「お前、なんで俺がこうやって千里の店迄来たか分かるか？」


「…昨日の夜の事ですよね…」


私が思っている以上に、中さんは怒っているっぽい。
わざわざこうやって千里さんのお店に足を運ぶくらい、私に怒りが収まらないみたい。



「お前が俺のLINEブロックしてるからだ。
絶対、ブロックしてるよな？」


LINE？
あ、そっか。
LINEで呼び出して、私を殴るつもりだったのかな？
けど、それが出来ないからわざわざこうしてやって来た。


「本当に、昨日の夜の事はごめんなさい！
真湖さんにも謝ってて下さい」


そう言ってから、もしかしたら私のせいで、中さんと真湖さんの関係に亀裂が入ったりしてないだろうか？と思った。



「真湖にはもう会わないから、謝れない」


え、じゃあ、私のせいで…。


「中さん、本当にごめんなさい！
もうどう謝っていいのか分からないです！
気の済む迄殴ってくれて構いません！
ただ、顔は辞めて下さい…。
それは、周りにそれを知られたら色々と面倒なので」


「ごちゃごちゃうっせぇな。
さっさとLINEのブロック解除しろよ」


中さんのID は削除しているから、ブロックの解除が出来ない…。


「それは、出来ません」


「は？てめぇ、そんなに俺から逃げたいのかよ！」


「いえ…。償いはします。
だから、好きなだけ殴ってくれたら」


「さっきから、殴るとかお前何言ってる？」


「私のせいで真湖さんとの関係が終わってしまって、
それで中さん私に怒っているんでしょ？」


「確かに、お前のせいで真湖とは終わったけど。
俺が怒ってんのは、お前がLINEをブロックしたからだ」


LINEのブロック…。
それって、そんなに怒る事なの？
なんか頭が混乱して来た。