朝なけに
「あの後な、お前をすぐに追い掛けたいって思った」


私が修司さんのお店から出てからの事だろうか。


「でも、あのまま追い掛けてもダメつーか。
俺にお前を追い掛ける資格がないだろ?」


「そうなのですか?
そっかぁ…。
私、真湖さんの代わりは辞めると言いましたもんね」


もしあの後追い掛けられても、何も状況は変わらなかった。
やはり私は、真湖さんの代わりにはならないと中さんとの関係を終わらすだろうし。
今現在のように、真湖さんとの関係を切り私とちゃんと付き合いたいなら、私はもう真湖さんの代わりじゃなくていい。


「ああ。
それとお前に言いたかったが、俺は葵衣を真湖の代わりなんかにした事ない。
お前が勝手に言ってただけで」


確かに、私がそう言っただけで、中さんはそれにたいして何も言っていないかもしれない。
その辺り思い出せないけど。


「後、俺がお前に自分を重ねているとか意味分からない。
だから、俺がお前と時々会うようになったとか」


「だって、初め私とは二度目はないって中さん言っていたのに、
私が中さんに、中さんが欲しいとか、自分のものにしたいとか言ってから、中さん私にまた会うか?って…。
それって、中さんが私の気持ちに共感したからかな?って。
中さんも真湖さんにそう同じ事思っ――」


「嬉しかったからだろ!」


私の言葉を遮るように中さんはそう言うと、少し照れ臭そうに私から顔を逸らした。


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