朝なけに
「俺と付き合うなら、この店も辞めろ」


「いや、でも」


「金は俺が払う。
それはグダグダ言うな。
お前がこういった男を接待するような店で働いてて、俺が嫌だと思ってるとか分からないのか?」


中さんのそう思う気持ちは分かるような気がする。
もし中さんがお金の為にホストクラブで働くと言ったら嫌だろうし。


「分かりましたけど。
けど、中さんに対して負い目が残ります」


バーの件は騙されたとはいえ、元々は自分の撒いた種で。
その尻拭い全てを中さんに押し付ける形になるわけで。


「払うのは、別にお前らが吹っ掛けられた金額全額じゃない。
本当にお前達が飲み食いして掛かった正規の金額だ。
それなら、お前も納得出来るか?」


「それなら…」


多分、1万は超えていてもそれ程大きな金額じゃない。
あの木下さんって人も、グループのリーダーの中さんにあんなボッタクリのような事はしないか。
けど、なおさらそれくらいの金額なら私が払うって思うけど。
またそれを口に出すと話が拗れるので、その恩は追々返そう。



「分かりました。
中さんに従います」


そう言うと、ああ、と満足そうに中さんは頷いた。


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