朝なけに
彼女になってから初めて中さんのマンションの部屋に入る。
リビングのソファーで、遠慮なく中さんの横に座る。
だって、私は彼女だから。


「お前腹減ってるか?
減ってるなら、ピザ頼むか?」

そういえば、今度私が来た時に宅配ピザを頼んでくれる約束だったな。
ただ、2日前にあれ程ピザを食べたばかりで、暫くピザはちょっと…というのが本音。



「空腹かどうかよく分からないです。
空いてるのかもしれませんが、今幸せ一杯で、どうでもよくて」


朝から何も食べてないので、空いてるはずだけど。
特に食欲がない。


「分かるかも。
俺もそんな感じ」


中さんは、私の肩に腕を回し引き寄せて来る。
彼女になってからこうされるのが、初めてだな。


「飯は後にして、とりあえずシャワーでも浴びるか。
お前が先に浴びるか?」


「シャワーですか?
中さんが先でも構いませんよ」


もう出掛ける予定がないなら、さっさとシャワーを浴びてしまいたいのだろうな。


「多分、お前意味分かってねぇよな?」


「え?シャワー浴びるんですよね?」


「ああ。そうだけど」


「そうですよね」


順番にシャワー浴びて…。


もしかして、そういう意味?


「そういう意味ですか?」


ついに、私は中さんに抱かれるのだろうか?


「ああ。付き合って早速ってのもあれかもだが」


「分かりました!
では、シャワーは私は後でお願いします!」


了解、と私の頭を撫で、中さんはバスルームの方へと行った。


ついに、今夜…。
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